住宅ローンを通すには法人名義と個人名義の区分をしっかりとつけることです。
(※このページは2020年2月4日に更新されました)
この記事は下記のような方へ向けて書いています。
●:法人代表者で住宅ローンを借りようと思っている方
●:個人事業時代の借金を法人に移管していない方
ケース:会社設立初年度の法人代表者。住宅ローン審査は通るでしょうか?
◆ケース
法人代表の住宅ローン(7000万円)に関して質問です。
現在20代後半、妻、子供(4人)の家族構成です。
7000万円の住宅(土地を購入し注文住宅)を購入したいと思っているのですが、ローン審査に関してアドバイス頂きたいです。
会社設立は今年4月ですので、法人としての決算は一度もしておりません。
ローン審査を通すのは来年3月末の決算が終わってからの予定です。
●会社の状況と個人の状況
・会社は10万円~50万円の黒字
・役員報酬として自分(1000万円)と妻(600万円)で年間1600万円
・個人事業時代の1月~3月所得は約250万円
・昨年の個人事業時代の自分と妻(専従者給与)を併せての所得は1150万
・一昨年の個人事業は軌道に乗ったのが10月頃で個人事業の所得は60万円
・借入金は個人事業時代に運転資金として政策公庫より1500万円融資あり。来年4~5月時点(ローン審査予定)での残金は約1200万円
・車(個人名義)のローンが500万円。来年4~5月時点(ローン審査予定)での残金は約300万円
・その他、キャッシング等はありません(過去にも借りた事は無し)
・毎月の支払(携帯代、クレジットカード、借入金、車ローン等)の遅延は一度なし
なお、頭金として現在の住居(親所有、ローン無し)の売却金(1000万円予定)を充てますので実質ローンは6000万円です。返済期間は35年の予定です。(現住居は来年4月までには売る予定です)
物件購入時の諸費用(約200~300万円?)は自己資金での予定です。
出来れば出したくないですが、自己資金で頭金(300~500万円)でしたら出せます。
以上で、不安点は会社設立1期目という事と、一昨年の所得が低い事と、借入金があるです。
回答:法人代表者が住宅ローンを通すために3つの対策があります
ケースから要点が3つありましたので、下記の3点に絞って解説していきます。
- 会社設立1年目の法人代表者が住宅ローンの審査に通るのか?
- 個人事業時代の借入が残っている場合は審査にどう影響するか?
- 法人代表者が住宅ローンを通すための3つの対策
会社設立1年目の法人代表者が住宅ローンの審査に通るのか?
法人代表者の住宅ローンについては、通常決算実績が3年分必要と言うのが一般的です。
銀行からすると事業と収入の安定性を見るために3年の実績を見たいというわけですが、このケースの場合、個人事業から通算で3年事業をされているため、実績は検討できる状況と思います。
審査のステージには立てるので、あとは銀行との交渉次第で住宅ローンは通るのではないかと思います。
個人事業時代の借入が残っている場合は審査にどう影響するか?
個人事業時代に借りた政策金融公庫からの借入が1500万円(残債1200万円)あるとのことですが、これはあくまで名義が個人のため、審査の上では悪影響になります。
次の章の対策でお話しますが、政策公庫の名義は法人名義に変更すべきです。
法人代表者が住宅ローンを通すための3つの対策
法人代表者は住宅ローンを通す際には、会社と一緒にして審査されるケースが多々あります。
大きく影響するのは会社の利益です。会社の将来性や収益性など安定して役員報酬が取れるかどうかも判断されます。
また個人の財産債務も他の住宅ローンと同様に審査されるため、まずは法人と個人の区別をしっかりと作ることから始めましょう
対策1:政策金融公庫の名義を法人名義に変更する
個人事業時代に借りた政策金融公庫の残債1200万円については、個人名義のままですと、住宅ローンの審査が厳しくなります。
通常、法人設立の時点で、政策金融公庫より法人への引き継ぎ手続きを要請されますが、設立してからまだ浅いので公庫側が気づいていない可能性があります。
この資金は事業のために借りたものですので、個人名義の借入残高を減らす為に、法人名義への引き継ぎ手続きを行ってください。
対策2:車のローンも法人名義に変更する
車については、おそらく社用で使われている車とおもわれますので、車のローンについても同様で、法人へ車を売却し法人でローンを組み直すようにされた方が良いです。
その場合。自動車保険の等級が引き継がれず、保険料が上がる場合がありますので、実行する前に損保代理店にご確認ください。
対策3:法人の借換と住宅ローンの抱き合わせ融資交渉を行う
銀行に政策金融公庫の借入分の借換と住宅ローンの融資を一緒に申し込むのもひとつの手段です。
もちろん政策金融公庫の借入分の借換は法人で、住宅ローンは個人名義となるのですが、銀行からすると会社の状況によってはうまみのある融資となります。
政策金融公庫の借入分は無理に借り換える必要はないのですが、住宅ローンを通すためのツリだと思ってください。
今後の法人のメイン銀行にする意図と住宅ローンを通りやすくする意図があります。
あとは取引銀行の担当者にどれだけ旨みを見せられるかと、事業の安定性と成長性を事業計画書で納得させられるかです。
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